内藤礼 color begining

インスタレーションで不動の地位を築いている内藤礼。静謐の中に確かな存在を感じさせる作品を作ることができるのは、世界でも彼女だけではないかと思う。

今回の展示で内藤は絵画を描いた。描いたというよりは、平面に絵具を使った作品を作った、といったほうが適切だろうか。ほとんど色がなくなるほどに薄められた絵具を何度も何度も重ねることによって浮かび上がってきたcolor。「色」という言葉には様々な意味が含まれるが、内藤が扱っているのはcolor。

林寿美(川村記念美術館学芸員)は個展に寄せた文章で、内藤の作品の中の「気配」に言及する。その気配は恐らく「死の気配」であったはずだ。しかし、今回はbeginingである以上、「生の気配」を扱っているのだろう。

color begining

色が始まった後として作品を見たとき、それが「生の気配」を表しているが故に、私たちは生の前にあった「死の気配」を探ろうとしてしまう。色が始まる前そこにあったのは「死」か、あるいは「無」か。これまで「死の気配」を現すことで存在という「生の気配」が立ち現われて来ていたのに対し、今回の展示では逆に「死の気配」が不気味に立ち現われている。

color begining

死は、生まれたばかりの色の中に、含まれている。



ギャラリー小柳
内藤礼 「カラー・ビギニング」
会場: ギャラリー小柳
スケジュール: 2009年03月24日 〜 2009年05月16日
住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8F
電話: 03-3561-1896