村上隆&カイカイキキ 映像編

下北沢トリウッドという映画館で、村上隆カイカイキキ所属アーティストの映画を見てきました。短編映像を一気に見ることができました。

・kaikai&kiki
イカイとキキというキャラクターのお話です。「うんち」や「おなら」など鉄板ネタを多様しながら、切なさもあります。1話と2話が公開されていますが、1話はスイカをめぐる自然と生命のお話です。物語は単純ですが、地球(宇宙)と生命のつながりと人のつながりがほのぼの表現されています。2話は、カイカイの過去が描かれています。カイカイはかつてあった宇宙戦争でお師匠様と悲しい別れを経験しているようです。カイカイとキキ二人の関係が愛にあふれていてどちらもいい作品です。また、時間をめちゃくちゃかけているだけに映像の質は、アニメの有名作品にも全く引けを取らないものでした。2010年に長編映画として公開される予定です。

・SUPERFLAT MONOGLAM
ルイ・ヴィトンのデザイン担当の際に作られた作品です。昔のものはyoutubeでも見られますが、新しいものは初めてみました。昔のは中学生くらいの女の子と村上キャラクターのお話ですが、今回は高校生くらいです。高校生なので初恋もテーマの一つになっています。恋愛感情とルイ・ヴィトンへのあこがれ=ブランディングを表現しているのでしょう。パンダのキャラクターを進化させて竹のモチーフが多様されている点が特徴です。昔のは映像の質の高さがアニメオタクにも評判だったそうです。今回も映像はとてもいいと思います。

・コオリユクオト
國方真秀未の作品です。生と死がテーマになっています。しかし、あまりにテーマに頼りすぎているように思えました。やりたいことがたくさんあるのは分かるのですが、もっと単純化して含みを持たせないと、逆に何を描きたいのか分かりにくくなってしまいます。「あたしはわるいこ、お兄ちゃんはいいこ」という作品が元になっているのですが、そこからどう飛躍させるかという点でいまいちでした。

・誰も死なない
Mr. の作品です。バトルゲームに熱中する女の子5人のお話です。女の子のお尻を執拗にとったり、胸をとったりと映像のフェチ度は高くて面白いのですが、内容がわけわかりませんでした。昭和のB級映画みたいな内容です。多分B級映画のパロディがいっぱいあるのだと思いますが、その元ネタがあまり分からなかったので、半分くらいしか楽しめなかったのではないかと思います。B級映画とアニメの折衷としてとらえれば確かに面白い作品でした。ただ、それをアイロニックなメッセージとして受け取ればいいのか、そのままやっぱアニメもB級映画もいいよねと積極的に受け取ればいいのか分かりませんでした。その辺、監督としての立場をもっと明確にしてもいいように思います。

その他、カニエ・ウェストのPVはダントツに質が高いし、カッコイイのですが、村上的モチーフというよりはカニエ・ウェストだなぁという感じが強かったです。それから、村上にとって花というモチーフの重要さがよく分かりました。日本的な捉え方でいくと花をモチーフとした作品はよく分からない部分があるのですが、あれはアメリカン・アーティストとしてのムラカミとして捉えれば分かりやすくなります。このへん詳細にはいるとめんどくさいのでまたの機会に。


まずはカイカイ&キキの公開が楽しみです!
見方によっては宮崎駿よりも面白いものになると思います。





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トリウッド